RHEL 9 がリリースされたので自宅ラボの RHEL 8 をアップグレードしようとしたところ、CPU がサポート対象外となっておりアップグレードできませんでした。

【結論】AMD Zen/Zen+/Zen 2 のマシンは RHEL 9 にアップグレードできない

先に結論から言うと、AMD Ryzen 5 3400G を使っている自宅ラボの仮想化基盤上のマシンが RHEL 9 にアップグレードできませんでした。

どうやら AMD Zen/Zen+/Zen 2 のマシンは RHEL 9 にアップグレードできないようです。

以下、アップグレードの流れとともに上記結論を判断した理由を説明します。

アップグレードの事前チェック

RHEL 9 の公式ドキュメントに RHEL 8 からのアップグレード手順が載っていました。

RHEL 8 から RHEL 9 へのアップグレード Red Hat Enterprise Linux 9 | Red Hat Customer Portal

この手順に則って、leapp コマンドを使ってアップグレードの事前チェックをしました。

$ leapp preupgrade --target 9.0
==> Processing phase `configuration_phase`
====> * ipu_workflow_config
        IPU workflow config actor
(snip)
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                     UPGRADE INHIBITED                      
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Upgrade has been inhibited due to the following problems:
    1. Inhibitor: Firewalld Configuration AllowZoneDrifting Is Unsupported
    2. Inhibitor: Leapp detected a processor which is no longer supported in RHEL 9. Upgrade cannot proceed.
Consult the pre-upgrade report for details and possible remediation.

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                     UPGRADE INHIBITED                      
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(snip)

すると、赤く UPGRADE INHIBITED という文字が表示されて終了しました。 どうやら RHEL 9 へのアップグレードができない状態のようです。

アップグレードを阻害する原因はなにか

事前チェックで検出された問題は 2 つありました。 leapp preupgrade コマンドによって出力されたレポートで詳細を確認しました。

一つは Firewalld の設定です。 こちらはレポート内に詳細理由と設定変更用コマンドが用意されていたので対処しました。 今回は本筋ではないため割愛します。

もう一つは、本記事のタイトルにもしている CPU の問題です。 RHEL 9 でサポート対象外となった CPU をアップグレードしようとしているマシンで使っていることが原因のようです。 表示されたメッセージだけでは分からなかったですが、レポートには以下のような情報が出力されていました。

Risk Factor: high (inhibitor)
Title: Leapp detected a processor which is no longer supported in RHEL 9. Upgrade cannot proceed.
Summary: Support for the following processors has been removed in RHEL 9:
     - Unsupported Family 17h

Family 17h とは AMD の CPU の中でも AMD Zen / AMD Zen+ / AMD Zen 2 を指すようです。

自宅ラボで使っている仮想化基盤 (ESXi) の CPU は Ryzen 5 3400G で、上記の AMD Zen+ に該当します。 そのため、この ESXi で構築した RHEL 8 マシンは RHEL 9 へのアップグレード事前チェックで弾かれるようです。

無理矢理アップグレードを試す

とは言いつつも、サポートしてないだけでアップグレードはできるでしょ?と思い、leapp upgrade コマンドを実行してみました。

結果は……残念ながら事前チェックと同じく CPU サポート対象外が理由でアップグレードできませんでした

leapp upgrade --target 9.0
(snip)
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                     UPGRADE INHIBITED                      
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Upgrade has been inhibited due to the following problems:
    1. Inhibitor: Leapp detected a processor which is no longer supported in RHEL 9. Upgrade cannot proceed.
Consult the pre-upgrade report for details and possible remediation.

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                     UPGRADE INHIBITED                      
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(snip)

どうやら事前チェックだけでなく、アップグレード自体もさせてもらえないようです。

RHEL 9 ではどの CPU がサポート対象外となったか?という疑問がありますが、軽くググってみても情報は見つかりませんでした。 もし対象のドキュメントや、今回の問題を回避する方法をご存知の方がいたらぜひ教えて下さい。